第3回 開業の1983年
遠い昔のことですよ。メールはそこで終わり、パソコンのモニターに映る余白が、何だか奇妙なくらい効果的なのでした。
メールを下さった方に、ボクは尋ねたのでした。お住まいが駒場東大前駅に近くもあり、もしやと思い、別件とお断りをしてからメールしたその返信には思いがけない出逢いをかいまみることになりました。
と、何のことやらこれでは説明できていませんので、改めてお話します。
駒場東大前駅の西口から歩いてすぐにバーガーショップが駅前カフェよろしく気軽な感じでありますが、その隣あたりにつけめん屋さんも見つかります。
そのつけめん屋さんは、駅のホーム西口側からも柵越しに見つかります。
今からおよそ35年前に、その同じ場所に見えたのは、つけめん屋さんではありませんでした。河野書店でした。
河野さんは奥さんとともに、西口側ホームからすぐ目と鼻の先に、お店を開きました。1983年。昭和でいえば58年になります。
この年のトピックをと思い『現代風俗史年表』を開いて見ました(世相風俗観察会編、河出書房新社、1986年)。ボクは当時6才なので、生きてはいますが社会に出てはいませんから、その立ち場で昭和58年の出来事で目にとまるのは、テレビに活躍する人や番組。
それで行くと、この年はNHK朝のテレビ小説『おしん』が放送されています(1983年4月4日〜1984年3月30日)。ヒロインを3世代に渡り3人の役者が演じています。小林綾子さん、田中裕子さん、乙羽信子さん。原作は橋田壽賀子さん。泉ピン子さんの姿も思い出します。渡る世間は・・・はまだまだ後のドラマですね。
『笑っていいとも!』はすでに前年に始まっていて、『オレたちひょうきん族』でタケちゃんマンとアミばばあが話題になった年。ビートたけしさん、さんまさんの唄を子ども心に聞いていました。
大橋巨泉『世界まるごとHOWマッチ』愛川欽也『なるほど!ザ・ワールド』放送開始。少年時代に欠かせない番組でした。
スキャンダル記事で部数を伸ばした雑誌『フォーカス』が話題になったともありますが、さいきんでいう〝文春砲〟のような所だったのでしょうか。
『少年ジャンプ』で『北斗の拳』連載開始。ボクもまたジャンプで育った世代。「お前はもう、死んでいる」その哲学的な文学的なフレーズは今になってみると、どこか逃げ道を残しているような、余白があったように感じてしまいます。
〝コピーライターブーム〟でもあったンだそうで。今も第一線で活躍されている糸井重里、林真理子両氏の名前が挙げられています。(昨年、都心で糸井重里さんを目撃。遠くからでも他とは違うオーラを感じました。かっこよかったぁ。)
この当時6才のかわいかった少年が、41才のおじさんになるまで35年の時間が過ぎました。
駒場東大前駅のホームから見えた河野書店。1983年の開業からおよそ20年間、そこで営業していた時代のことを少しだけ、次回追いかけてみようと思います。
ちなみに、30メートルほど移りましてからも河野書店は駒場東大前駅のそばのまま。
(つづく)
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文責・板垣誠一郎
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投稿者: 東京のむかしと本屋さん編集部
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