連載◎[深川・浅草/町田]東京へやや遠くなりぬ 二の橋書店:第1回 東京から離れた町・オダサガ

東京から離れた神奈川県相模原市の南端、小田急相模原駅からほど近い二の橋書店。県をまたいで今回は、下町に端を発する3代目店主・田中領さんからうかがった思い出を手がかりに、文芸の町・東京探しに参ります。第1回は「東京から離れた町・オダサガ」

第1回

東京から離れた町・オダサガ

 

東京から離れた町から話を始めます。

ここは、小田急小田原線の停車駅、小田急相模原駅を中心にした生活圏で、地元では駅名を略して“オダサガ”といわれています。

鉄道のことでいうと、JR横浜線相模原駅が同じ市内にありまして、ともに相模原とつくので他県から利用する人には混同しやすいのですが、この2つの駅はとても離れています。似て非なる場所です。

さて、オダサガです。

この町で長年お店を営む二の橋書店という古本屋があります。

駅の南口にロータリーがありまして、左手の商店街の通りを行きます。スーパーのイトーヨーカドーが判れば、二の橋書店はもうじきです。

車道を挟んだ小売店の並びに八百屋やお弁当屋、不動産屋にラーメン屋といっしょに店を構えています。

実は、2年ほど前に、一度お店をやめてしまったことがありました。

5月の連休よく晴れた日にこの辺りを歩いていましたら、二の橋書店の様子がいつもと違う。ガラス張りなので、外からでも中が判りました。棚からすっかり本が片付けられている、そのまっ最中。

びっくりして店に入りまして、本を束に結わえている店主に近づいて、やめるんですかと訊ねましたら、ハイ、辞めます。きっぱりといさぎよいご返答。

住み慣れた町から本屋が消えて行く。オダサガは駅の周りに新刊書店にも古書店にも事欠かない町でしたが、段々と姿を消して行きました。ここにきてついにここも‥‥という寂しさ。

四十路の僕は、10代の頃からこのお店を訪れた記憶があります。時の移ろいには抗えません。

本が売れないのは、仕事柄ひしひし感じます。特にこの数年余りのうちに読む行為が変わりました。通勤電車に本や新聞雑誌を読む人が少なくなった。

その寂しさも束の間、二の橋書店は撤退してからしばらくして営業を再開していたのです。元々お店のあった物件は空いたままで、現在はすぐ隣の物件に移っています。

今の店内には立派なカウンターが備えつけられています。客席も用意されているので、お店の本を手にとって着席、飲み物を頼んでの読書もして構わないそうです。

1杯300円で、珈琲を淹れてくれます。

お酒も出してくれます。

二の橋書店店内。店主の田中領(たなか おさむ)さん。(2017年8月撮影 板垣)

すっかり様変わりして早2年が立ったことし、僕は久しぶりにお店を訪ねました。

一度はお店が閉店した寂しさと再開した嬉しさがないまぜになった不思議さから、店主の田中領さんにお店の来歴をうかがいました。

オダサガで長年つづいたお店とばかり思っていたので、この町の昔を聞けるのかと思いきや、そうじゃなかったわけなのです。本所深川にはじまり、その後戦争のために浅草で再開。それから郊外の町田へ移り、またまた相模原市のオダサガへ。

教えて下さったお話は、とっても予想外の展開でびっくり。東京と、ものすごく縁のあるお店なんです。

後日、お聞きできた話をもとに来歴を僕なりに辿ってみました。そのレポートを綴って行く次第です。

誰かがどこかから、ここが面白いヨ、知ってるかいと誘ってくる。ほいほいとそれに乗って行くと、埃をかぶっているはずの東京の昔が、実に活き活きといまもそこに見つかるレポートです。

ふいに、二の橋書店のお店を見守るタヌキを思い出しました。

 → 次回


紹 介

二の橋書店

公式サイト http://www.ninohashi.com/

〒252-0312 神奈川県相模原市南区相南4丁目1−31
地図 https://goo.gl/maps/urQYxXQTm4u
最寄駅:小田急相模原駅南口徒歩5分
営業時間:13:00〜21:00
定休日:不定休(古書イベントの際にお休みします)
電話:042-749-9345

「日本の古本屋」
https://www.kosho.or.jp/abouts/?id=12031730


文責・板垣誠一郎


〈2017年8月配信開始!〉 
東京へやや遠くなりぬ 二の橋書店 
── 3代目・田中領さんにきいた思い出ばなし 

投稿者: 東京のむかしと本屋さん編集部

「東京のむかしと本屋さん」編集部 メール tokyomukashi@gmail.com